妻のへそくりと夫のへそくり
「へそくり」を行うのにも、「立場」によって難易度が変わってきます。予算から外れた金銭を作るための「意識」のようなものの差です。
「へそくり」として蓄財していくことは「目的」によっては後ろめたいものです。普段の予算繰りでは購入することができない自分の趣味の品を買うため、しかも内緒で。あるいは遊ぶ金など、「へそくり」の目的によっては本当に家族にバレたくないということも多々あるでしょう。そのような「へそくり」をもっとも作りやすい立場というものがあります。それは一体どのような立場でしょうか。
それは「財務」を管理する立場です。
家計においての財務大臣、大蔵大臣の立場であれば、家庭で抱えた予算から「へそくり」などは簡単に作れてしまうのです。それはある意味アンフェアなことであり、既得権益でもあります。会社であれば経理担当や経営者が「裏金」を作るようなものです。家庭においてはその家庭の所有している資産をどのように使おうと自由なわけですから、そのような脱税や横領などの罪に問われることはまずないものです。ですが、内容としては会社のお金を着服したり、資産から隠匿して裏金として脱税したりすることとなんら変わりはないということです。
家庭の中で、誰が家計をやりくりしているのかということには差があるでしょう。各家庭によって違うものです。ですが、ケースとして多いのは「妻」の立場でしょう。共働きであれ、片方が家庭を守っているのであれ、「家計」を守っている立場であれば資産の中から少し都合してプールするなどということは簡単に行えるのです。
ただ、家庭においてそのようなことをしても「バレない」ということは難しいものです。なぜなら、何かを購入したらそれは残るわけですし、どこかに遊びに行くのであってもそのときには発覚するものです。なによりも「会社」と「家庭」で違うことは、会社は個人のものではなく、「組織」として社員全体で背負っているものなのに対し、「家庭」は逃げることができない最後の砦だからです。たとえ家計から資金をプールしたとしてもそのしっぺ返しは自分たちに跳ね返ってくるのです。だから家計を管理し、知る人ほどそのような「横領」じみたことは行わないということです。そのようなことをしても自分の首を締めるだけだからです。
働きに出ていて、小遣いとして日々の資金を支給されている側、つまり一般的には「夫」となるのですが、そのような立場の人であれば家計の細部まで把握していないことも多いでしょう。だからこそ「へそくり」として自分のお金をプールしたくなるのです。家計の実態を知っていれば、そのようなことを考える気も起きないかもしれません。今の時代、「裕福すぎてしょうがない」という家庭は存在しないのです。だからこそ、各小遣いは制限されていて、それぞれがなんらかの「倹約」を考えて生きているのです。今のような時代に「贅沢」などは言っていられないのです。