なぜへそくりを隠すのか
「へそくり」の特徴として、それを隠したくなるということが挙げられます。へそくりを「隠す」ということは一般的なことのように捉えがちですが、そこには理由があります。
その家計を管理している人は、家庭によってさまざまでしょう。稼いでいる張本人であったり、或いは家を守る主婦であったりするかもしれません。その財務を担う人がその家計、その家庭の「大蔵大臣」ということです。蓄えている資産の中からどれくらいの金額をどのようなこと、どのようなものに充てるのかを管理する人です。月々の貯蓄額を考えることができる人で、将来どれくらいの蓄えを持っておくべきなのかということをしっかりと考えることができる人です。
その支出項目の中に例えばへそくりをしたいあなたの「小遣い」という項目が含まれているとします。それは「小遣い」といってもただの小遣いではありません。ランチ代からタバコなどの嗜好品に至るまで、日々の出費のすべてを司る「予算」です。それらは家計の中でも絶対に存在する支出項目であり、財務の管理者からしてみれば、その支出は家賃や光熱費などと同様の必要経費なのです。
財務の基本的な考え方として、各項目の支出を「抑える」ことは基本スタンスとして存在します。どのような財務の管理であっても、支出を低くすることは美徳とされることであり、いくら「残す」のかということを考えるのが管理の基本です。存在する予算を使い切るのではなく、どれだけ残して次に繋げることができるのかということです。それは仕事であれば「コストカット」として「売上確保」に等しい評価を受けるものでもありますし、家計であれば不安な世の中で蓄えることができるという「安心」の積み重ねを行うことができるということでもあります。
そのように「出費」は抑えるものです。そして、日々消費しているあなたの財布の中身も、管理者からしてみれば「なるべく削りたい」ものであるということなのです。なるべく削りたいから、それらが「使い切られているのかどうか」ということは気になって然るべきなのです。もしも、あなたが託された予算が全額消費しているわけではなく、それらが「余っている」ということがバレてしまった場合、そしてそれが「恒常的に余っている」ということが判明してしまった場合、支給される予算が減らされてしまう可能性があります。
だからへそくりは隠すのです。だからへそくりは「隠したいもの」なのです。そのへそくりを確保するための絶対条件として、余剰分を確保できるだけの「予算」が必要なのですが、その予算がカットされてしまうと、残すものも残せないということになってしまいます。
つまりへそくりとはその財務の管理から外れた資産です。収支の中ではすでに「支出」とされているので、管理者の中ではすでに「終わっている」お金ということです。「へそくり」という勘定項目は財務管理の中には存在しないのです。それをまず大前提とすることが必要です。